ここは、2012年~2017年までの過去ブログ専用のホームページです。『最新のブログ』はこちら

角Z1000 シリンダースリーブの陥没

先日の朝練で、エンジンから異音が出てきたので点検します。
シリンダー&ピストン交換後、約2000km走行しています。
イメージ 1

音質は排気漏れのような「パスパス」といった感じで、
発進のスロットルオンの時によく聞こえ、回転上昇につれて聞こえなくなります。
ですが、音の出所がエンジンのどの場所かわかりにくいのです。
イメージ 2

ガバナーのバネが少し緩いので、進角のトリガーが回転方向にガタがあり、
そこも音の原因かと疑いますが違うようでした。
カムチェーン周りも点検し、テンショナーを外してみても特に異常はありません。イメージ 3

音の出所はエンジン中心部にも思えますが、
一応、マフラーを外してクラックなど無いか点検します。イメージ 4

集合部分など、溶接個所にもクラックなど無いようです。
マフラーのガスケットは新品交換してみましたが、音は止まりませんでした。
イメージ 5

音とは関係ないですが、1番エキゾーストバルブだけが、
オイルでだいぶ濡れています。
イメージ 6

ガイドの根元から濡れているので、
ヘッドに対してガイドが緩くなってきたかもしれません。イメージ 7

プラグキャップにもガタがありました。
本来付いているはずのこのスプリングが数ヶ所にありません。
イメージ 8

残っていたスプリングはサビが酷く、交換の際に割れてしまいました。
無くなったところには、新しいスプリングを取り付けます。
イメージ 9

シリコンのオレンジキャップは、上から差し込むだけです。イメージ 10

もう一度エンジンを始動して、音の出所を探してみると、
ようやくその場所がわかりました。
ヘッドガスケットが抜けているようで、
カムチェーンテンショナーの上のあたりからガスが出てきます。
イメージ 25

その動画がこちら。

20171106ヘッドガスケット抜け

ヘッドの締め付けトルクを確認しても異常ありません。
少し増し締めしても漏れは変化せずガスが出てきます。
イメージ 12


分解点検することに。
イメージ 26

カムを外す前にバルブクリアランスを計測しておきます。イメージ 11

カムホルダーの締め付けトルクも確認しておきます。イメージ 14

前回から3番のカムキャップは別のエンジンの物を流用しているので、
メタルの当たりも確認します。
イメージ 13

手前が流用したカムキャップです。
片方のメタルが若干片当たりしているのがわかります。
何とか許容範囲と考えます。
イメージ 22


シリンダーのM6ネジもトルクチェックします。
左側はネジが上がってしまいました。こちらはヘリサートを入れる予定。イメージ 15

ヘッドを外します。ガスケット抜けの場所が見えてきました。イメージ 23

ヘッドガスケットが抜けていたのは、
2番シリンダーのカムチェーントンネル側です。イメージ 16

一番弱いところではありますが、
ボアはφ72ミリなので、この部分のガスケット幅は十分あるはずです。イメージ 17

ヘッド側はこんな感じ。
イメージ 18

ビードの痕はくっきり付いているので、
抜けた原因はヘッドで側ではないようです。イメージ 19

シリンダーを良く観察すると、
1番2番のスリーブがシリンダーデッキ面より下がっています。イメージ 24


加工済のピストンとシリンダーのセットで仕入れたものですが、
納入時は面研磨されて平面が出ていたものですが、現在ははっきり段差があります。
イメージ 20

シックネスゲージで測ると、段差は約0.15ミリあります。
これでは、メタルヘッドガスケットの面圧が下がり、吹き抜けるのもうなずけます。
イメージ 21
シリンダーについては、加工の依頼先で再度面研するよう手配しました。
もちろん、加工前にはプレスで1トンの荷重を掛けてスリーブを押してから
面研はしているとのことですが、こういう結果になることもあるのですね。

タイトルとURLをコピーしました